宙に浮かせた住棟のヴォリュームを上下から欠き取って、それぞれ「夏の庭」と「冬の庭」と呼ぶヴォイドをつくる。住棟自体が、最大で3層分、平均約2層分の厚みを持つ大きな屋根(ハイパールーフ)となる。ハイパールーフの下にできるピロティ空間は、文化交流機能、店鋪、保育所などが集合住宅と独立に配置されるほか、広域避難場所や、ねぶたの発進基地としても利用される。ハイパールーフは地域に対して、雁木に代わる、雪を楽しむための新しいパッサージュ空間を提供する。
夏の庭は、大きく空が広がるすり鉢状の空間である。風通しがよく、緑陰が設けられる。冬には積雪によってG.L.が変化する。冬の庭は、パンテオンのような孔から光が落ちるドーム状の空間である。雪が積らず、暖かい空気が滞留する。アンデュレーションのついた地表部では、夏の庭と冬の庭が交互に現れ、季節によって異なった風景が展開する。
周辺のビルから俯瞰するとき、フラットな屋根に開けられたヴォイドやプライベート・コートがつくる模様は、いわば5番目のファサードとなるものである。
計画地 | 青森県青森市 |
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用途 | 集合住宅 |
延床面積 | 28,420m2 |
構造/規模 | S造、RC造、SRC造 / 地下1階、地上4階 |
選定結果 | 2001年のプロポザールにおいて、審査員特別賞 |