4棟の園舎を風車型に配置することにより、セキュリティの高い中庭型でありながら閉鎖的になり過ぎない保育・教育環境をつくるように努めました。外部から園舎と園舎の隙間を通してこどもたちの活動が垣間見え、また園内からは屋根越しに周辺の山並みを望みます。また太鼓橋を設けることにより上履きと下履きの動線を立体交差させて、中庭側から直接登園できるように工夫しています。
半屋外空間が広いことも特徴のひとつです。中庭の周りには縁側がぐるりと巡り、そこに大きく庇が張り出します。また妻側にも大きな軒下空間をつくりました。ひとつは子育て支援センターの前、ひとつは職員の休憩室の前、もうひとつは調理室への搬入口で、最後のひとつは2歳児のためのお庭でここにも屋根がかかっています。純粋な室内空間の面積が927㎡であるのに対して、開放可能な回廊空間と軒下空間が合計で874 ㎡にもなります。
屋内空間については、自然な形で場所に対するアイデンティティを形成しやすいように、こどもの発達段階に応じて少しずつスケールや仕上げといった空間の質と風景が変化するように細やかなデザインを心がけました。
計画地 | 兵庫県赤穂郡上郡町 |
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用途 | 認定こども園 |
竣工年 | 2021 |
延床面積 | 1,398m2 |
構造/規模 | 木造 / 地上1階 |
2019年のプロポーザルにおいて、宮本設計協力事務所として優先候補者に選定 |
photos by Takumi Ota