スガルカラハフ

2002 -


庫裏とは寺院に付属した建築物としての僧侶の住まいであるが、この計画はさらにその庫裏に付随して、若夫婦のための小住宅を増築するものである。増築には、ただ床面積が増えるという以上のメリットがあってほしい。そこでこの計画では、増床は最小限にとどめ、同時に既存部分の間取りもあまり変えることなく、ただ、単純な入母屋を大きく照りのついた片流れ屋根に載せ替えることで、その下で展開される生活を根本的にリ・プログラミングしようと考えた。
屋根を載せ替える当初の目的は、住宅部分に十分な日照を得ることであった。しかし高くなった天井高を利用してロフトを設けたところ、庫裏の大きな銅板葺き屋根が突然、ロフト床の延長として感じられるようになった。それが「屋根の部屋」と呼ぶ内外一体となった空間である。
日本の社寺建築には、縋破風(すがるはふ)という屋根の増築についての優れたデザイン手法がある。ここでは限られた敷地の中で強く緑を望んだクライアントに対するささやかなプレゼントとして、新設の片流れ屋根に縋るかたちの藤棚を設けている。藤棚とは、つまり空(から)破風である。合わせて「スガルカラハフ」と呼んでいる。それが同時に、庫裏玄関へのアプローチ空間となっている。

所在地 大阪府大東市
用途 併用住宅(寺院庫裏)
竣工年 2002年
延床面積 81m2
構造/規模 S造、RC造、木造/地上1階+ロフト