SH@64

1999 -

敷地は阪神大震災直後に指定された区画整理区域のなかにある。周辺の住宅は土地の減歩にともなって大半が3階建てとなり、しかもパーキング以外にはほとんどオープンスペースをもたない。そんな異様な風景のなかに「環境のポケット」のような住宅をつくれないかと考えた。
外観については街並のスケール感を外すように、床高と階高を極力おさえて実質1.5階建くらいのファサードとなるように調整している。そのために剛床設計を兼ねて30mm厚の杉板一枚で2階床を構成したが、薄い床は同時に、透過性材料を嵌め込みインナートップライトを設けることによって「自由な床」となり、上下階の浸透を生み出すことになった。
2階については固定壁を設けず、可動間仕切りやカーテンによって分節される「広間」として計画した。細長いL字型の平面形状が、親子5人のために空間を分節する有効な補助線として機能している。対照的に1階では、客間、食堂、台所、浴室といった合目的的かつパブリックな小部屋がルースに連続しており、全体として「土間」の様相を呈している。

所在地 兵庫県西宮市
用途 専用住宅
竣工年 1999
延床面積 136m2
構造/規模 木造、一部RC造 / 地上2階