河原の家

1998 -


 「個人による自発的な公共性への志向」のことを広く〈自前の公共性〉と呼んでいる。ここではpublic house projectと名づけた調査研究の一環として、空間という具体的な領域に〈自前の公共性〉という視点を導入することで公共性概念の拡張を図り、それによって生まれるであろう新しい集住体の可能性について検証している。「河原の家」と呼ぶプロジェクトは、public house projectのケーススタディのひとつとして、既存市街地での戸建住宅の設計において〈自前の公共性〉を展開したものである。
 敷地は道路を挟んで河原に面している。住宅の本体は、公共性の私的領域への取り込み(パブリック・サービス)を各階に分散した公私セットの積層体として計画している。一方で、私性の表出(パーソナル・ゲイン)としての倫理的占拠(という名の不法行為)が日本でどこまで実行可能か、いい換えれば黙認可能な倫理的不法占拠の限界はどのあたりに位置するのかについても、住宅の目前に広がる河原を対象に思考実験を行った。

計画地 兵庫県宝塚市
用途 専用住宅
延床面積 111m2
構造/規模 S造、RC造/地下1階、地上5階