前網浜防集斜面住宅「スリバチ案」

2011 -


東日本大震災の津波で被害を受けた小漁村の高台移転計画。リアス式海岸に位置する集落は細い路地を介して住宅が斜面に高密度に張り付く典型的な漁業集落であった。総戸数23戸の内、残存家屋は5戸のみであり、防災集団移転促進事業(防集)によって高台移転が図られることになった。しかし周辺には適当な平地が存在せず、背後の30度の急斜面に集落の空間システムをそのまま延長するように用地を確保する案を策定した。スリバチ状の地形なりに安定した形状を持つもたれ式擁壁とそこから跳ね出すバットレス状の持ち送りによって宅地となるRCスラブを支持するという計画である。土木と建築を一体的に計画することではじめて成立する案である。残念ながら防集事業の制度的な制約によって実現には至らず、結果的に漁村であるにも関わらず港から1.5km離れた尾根上の平坦地への移転が決定した。

計画地 宮城県石巻市
用途 住宅団地(防災集団移転促進事業)
施工面積 2,180m2
構造 RC造,木造
規模 地上2階, 公営住宅9戸, 自力建設5戸