熊野古道センター基本設計公募型プロポーザル応募案

2003 -


 この施設は八鬼山越え熊野古道の起点あるいは終点となるものである。それは熊野の山々が持つ感受性と尾鷲の街の感受性が交わる「地形の結び目」のような場所である。そこに、巡礼のための茶堂を思わせる方形屋根を掛けることによって建築を構成することを提案した。大きな木造瓦葺きの方形屋根は、多雨地帯ならではのランドマークともなるものである。
 最初に「みち」を路上や道端に展開するアクティビティとともに敷地内にアルコーブ状に引き込む。同時に周辺に広がる棚田状の「地勢」を敷地内に舌(ぜつ)状に引き込む。「みち」と「地勢」がせめぎあい、そこに生まれる山と街の新たな境界面が新しい建築のファサードとなる。そのとき、人為的に引かれた敷地境界線はいつの間にか意識の上では薄れてしまっている。
 長くうねるファサードのうち、方形屋根の掛け渡された下が実質的な建築となる。機能毎に分棟形式で3つに分かれた建築の間には大きな軒下空間が形成され、内部空間─軒下空間─屋外空間(多目的広場)が機能的に相互に連関しながら連続していくことになる。

計画地 三重県尾鷲市
用途 博物館
延床面積 2,480m2
構造/規模 S造、RC造/地上2階