前橋市美術館プロポーザル応募案

2011 -

デパート撤退後の大型商業ビルを、既存躯体を活用しながら美術館に改修するコンペの応募案である。既存躯体を「森」と位置づけ、森の中に木箱の展示室を浮かべる提案を行った。RC造の展示室がツリーハウスのようにSRC造の柱梁に絡みつく。型枠には、杉、檜、栗、ひば、しおじ、欅といった異なる表情の材種を展示室毎に使い分け、捨て型枠として外装仕上げに転用することとした。ホワイトキューブの裏側(外側)がワンルームの交流空間となる。交流空間は街に向かって開かれ、内部の楽しさが外部にあふれ出す。柱梁が飛び交う3層の吹抜けには動線が縦横に巡り、全体が「アートの坩堝(るつぼ)」と化す。特徴的な柱梁がサインとなって来館者は場所を識別する。マップが要らない美術館である。通常とは逆に、展示室の配置は柱梁がホワイトキューブを適度に分節することを手掛かりに決めている。例えば「天井が低く、柱3本を内包する」「天井が高く、柱2本と梁を内包する」というように柱梁の見せ方が個々の展示室にアイデンティティを与える。また容れ子状の構成を利用して展示室の温熱環境や採光を制御する計画である。間接光が入る窓を展示室に設けるといったこともここでは可能である。

計画地 群馬県前橋市
用途 美術館
延床面積 2,970m2
構造/規模 RC造 / 地下1階、地上2階