クローバーハウス

2006 -

宅造地盤面と既存石積み擁壁を掘削して,吹抜け状の地下室をつくる。宅造地盤上に,それとは別のレイヤーでフラットルーフのガラスボックス平屋を重層させて,両者の間にできた空間を住居としている。空間は掘削によって自由に造形可能である。クローバー形をした天井高4.6メートルのホールが家族共有のスペースであり,そこからヤオトン状に横に掘られたボックスが個室(勉強部屋)や水回り等のスペースとなる。
宅造地盤レベルにできる3ヶ所のロフト状のアルコーブは,個人の寝室である。つまりクローバーの3つの房と寝室の平面形は,ネガポジ反転の関係にある。各ロフトは宅造地盤上の外部空間と関係付けられている。例えば,ロフト2からは,北側隣地擁壁をプロジェクションのスクリーンとすることで,数字上の床面積の狭さを補っている。また,外部階段を介して,各ロフトに直接アプローチすることが可能である。
構造的には,北側及び東側隣地からの片土圧によって発生する滑りに抵抗することが,最大の課題となった。そこで,9ミリ厚の鉄板を仕上げ材兼用の型枠とし,周囲にコンクリートを充填することで重量を稼ぎ,重力式に解決している。仕上げ面となる鉄板は16個のブロックに分割されて工場製作されるが,ジョイント部をすべて完全溶け込み溶接とすることにより,それ自身が有効な防水層となっている。

所在地 兵庫県西宮市
用途 専用住宅
竣工年 2006
延床面積 76m2
構造/規模 鉄板造、S造、RC造 / 地下1階、地上1階