鶏足院庫裏

未定 -


室町末期に開山された曹洞宗の古刹迦葉山鶏足院は、草葺きの山門(1779年築の鐘楼門)と石室を持つ門前古墳(6世紀末〜7世紀頃)で名高い。このプロジェクトは、鶏足院庫裏を新旧住職の家族が住む二世帯住宅にリノべーションするものである。
既存の庫裏は、裏庭を囲むように配置された母屋、僧侶控室として使われる納屋、土蔵で構成されている。これら3棟の建築を一体化するように、裏庭のボイドに十字型の平屋ボリュームをはめ込むこととした。十字の東西軸をつくる長いホール状のスペースを境にして、北側が壇信徒に開かれた公的なゾーンであり、南側が居住機能に対応した私的なゾーンとなる。南北軸に置いたボリュームは、南東のコーナーが開放されて陽当たりのよいリビングルームとなる。新しいリビングルームより東側が親世帯、リビングルームの西側が子世帯として利用される。十字の交差部には大きなハイサドライトを設けている。また薄暗い土蔵回りにはガラスのギャラリーを巡らせて、庫裏と本堂との間の混乱した動線を整理している。
新設する一列の列柱と片持ち梁で構成するRC架構+フラットスラブは庫裏全体のインフラと位置づけられるものである。構造的にも既存部に対する耐震要素として有効に機能する。増築部のインテリアは、出窓など既存庫裏外壁のエレメントを取り込んで構成される。美しい石積みの擁壁、オブジェのようなRC外部階段、池、井戸などの既存の土木的要素も積極的にインテリア化する予定である。さらに、様々な勾配で連続する新旧の屋根上には、その勾配をなぞるように反り上がるルーフデッキを設ける。屋根によって境内地から守られた私的なルーフデッキは、伊那谷と遠く南アルプスまで望む気持ちよいスペースとなる。

所在地 長野県飯田市
用途 寺院庫裏
竣工年 2016年(予定)
延床面積 165m2
構造 RC造、木造
規模 地上2階

photos by Yoshiro Masuda