家族文化アパートメント「愛田荘」

1995 -


 この住宅には、母親と、娘2人、男女の居候の計6人、それに加えて犬6匹からなる「拡大家族」が雑居的に住まう。敷地中央に位置する中庭の周りをめぐるスロープに各自の〈部屋〉が木賃アパートのように取りつくが、ここでいう〈部屋〉とはユニットと呼びうるような完結的なものではない。個人の成熟度に応じて、共用あるいは専用のキチネット、シャワーなどが適宜設けられ、それらが複数集まって〈家〉と呼ぶ便宜的でルースなエリアを構成する。それぞれの〈部屋〉は設備に限らず、何かにつけて相互補完的であり、したがって住人は必要に応じてスロープ、あるいは土間、縁を介して、訪問型の選択的コミュニケーションを展開することになる。
 このプロジェクトは、リジッドな「個室群住居」をモデルとして指向したものではない。むしろ逆のベクトル、すなわちすでに解体の完了した個のスムースな再契約を促すような装置系をイメージしている。あくまでもルースにルースに、しなやかで連続的な、さらには社会をも連環していけるような、そんな居住システムを夢見ている。

所在地 兵庫県宝塚市
用途 集合住宅
竣工年 1995
延床面積 198m2
構造 木造、一部RC造
規模 地上2階