「ハンカイ」ハウス

2007 -


東播磨の古い集落の中に建つ民家のリノベーションである。老朽化に加えて、阪神大震災時には「半壊」の判定を受けている。そこで特に損傷の激しい部分は切除し、そこに増築によって新たな機能を付加して、家全体として根本的なプログラムの変換を図ろうと考えた。
最初に、比較的状態の良好な築90年の母屋部分を残して、老朽化の著しい築300年の長屋門および同じく築300年の「奥」、さらに母屋のうち北側下屋を解体する。そして伝統的な田の字型(四間取り)平面を持つ母屋の周囲に、新たな個室と水回り、スロープを主体とした動線系を配置した。面積的にはむしろ、4人という家族の成員数に見合うように既存の過大な床面積を減築している。ツーバイフォー構法によって構成された新設部分はまた同時に、既存母屋に対してとぐろのように巻き付くことで、耐震補強として有効に機能している。ふわっと母屋を包み込むようなかたちの耐震補強である。
仕上げ材としては、新設部分の内壁はすべて、色目の美しいラワンベニアを選んで貼り回し抽象的に仕上げている。外壁には周辺の街並でごく一般的に使われている焼き杉の羽目板を貼っている。前面道路からは、長く横に延びた焼き杉のファサード越しに、母屋の立派な瓦葺きの入母屋屋根を望むことができる。ファサードに現れた、切れ上がっていく変則的な門型ボリュームは、かつての長屋門の機能とイメージを継承したものである。ボリュームの内部には、独立した出入り口を持つ離れ(お嬢さんのための個室)が、スロープ踊り場との間にテラス(物干し場)を挟んで収められている。ボリューム下部のピロティは母屋へのメインのアプローチであり、またクルマ6台分の貸駐車場として利用される。

所在地 兵庫県明石市
用途 専用住宅
竣工年 2007
延床面積 438m2(増築部分 193m2)
構造 木造
規模 地上2階