元階段の家

2005 -

(計画案)

とんでもない敷地である。間口6m、奥行50m、高低差25m、地表面の荒れ具合とあいまってまるでモーグルの競技バーンである。元々は上下の道路をショートカットする階段であった。斜面に箱を1つだけ置くと転がり落ちてしまうが、複数の箱を連結して露岩の「コブ」に引っ掛ければ転落はしない。基礎はごく簡単なもので済み、主体構造は木造でいける。そして、2インチ×8インチ材を使って箱を2方向に開かれたカルバート(筒)状にすることにより、landscape<land-escape(逃げていく風景)をつかまえてインテリア化することを考えた。垂線方向に水平に置かれた筒は、眺望や斜面を正面から切り取る。等高線と平行に置かれた筒は、背後の森を切り取る。そして垂直に置かれた筒は、空や地面を切り取る。プランだけを見ると町家に似ているが、斜面に箱がズレながら連続することによって本当の町家では不足しがちな採光、通風が取れてしまっている。

計画地 兵庫県西宮市
用途 専用住宅
延床面積 89m2
構造/規模 木造 / 地上2階