上坂設計、YAP(山口陽登)と協働
校舎に囲まれた2つの中庭に実験室2室と準備室2室増築する必要があり、既存校舎である工学部F 棟のピロティを横断するように、立体的な「余地」を掻き集めて一体の「敷地」を見出しました。貴重な中庭の開放感を失わないように、建物は南側に寄せて視線の抜けを確保し、また必要な屋外の動線を確保するために建物を4つのヴォリュームに分けて、天井高の低いピロティには準備室を、ダクト配管のために十分な天井高が必要な実験室はピロティ部を外して、全体としては雁行するような平面配置としています。
外装材としては、様々な材料と色彩で仕上げられた古い校舎群にも馴染むように、あえて全く異なる風合いを持つコールテン鋼板を選択しました。特に屋根面については、中庭を囲む校舎群から見下ろされることに配慮して、4つの外壁に次ぐ第5のファサードと位置付け、外壁と連続するように一体のコールテン鋼板で包み込んでいます。コールテン鋼板表面の最終的な仕上げについては、錆促進剤の塗布も選択肢ではありましたが、結果的には何も手を加えず、仮置きで生じた水溜りの跡や雨掛かりの有無も気にせず、信楽焼きのように偶然に現れた表情を楽しむこととしました。
所在地 | 大阪府大阪市 |
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用途 | 大学実験室 |
竣工年 | 2020年 |
延床面積 | 421m2 |
構造/規模 | S造 / 地上1階 |
撮影:長谷川健太