第6回ヴェニス・ビエンナーレ建築展 日本館床のためのインスタレーション


 阪神大震災の瓦礫20数トンを実際に現地に輸送し、それを15名の若いボランティアたちとともに日本館の床一面に積み上げて廃墟のインスタレーションを制作した。
 共同出展者の写真家宮本隆司は、延べ420㎡におよぶ震災の記録写真で展示室の壁面を埋め尽くし、建築家石山修武のチームは瓦礫の海のなかに異形のロボット10数体を据えた。人選はコミッショナーである磯崎新によるものだ。かつて「未来都市は廃墟である」と不吉な予言めいた警句を発した磯崎のもとに、廃墟というキーワードをめぐって3人の作家が呼び集められたということだろうか。
 記録に残らない出来事は、コトの大小にかかわらず歴史とは呼ばれない。未曾有の都市災害の実例として、なんとしてもそれを「あったコト」にしなければならないと私たちは考えた。ヴェニス・ビエンナーレという国際的なお祭りの場を借りて、大地震という事実を改めて書き起こすこと、廃墟というもうひとつの現実を造り出し、震災を記述し直すこと、それが3人の作家に与えられた使命であるように思われた。